√K Contemporary (ルート K コンテンポラリー/東 京・新宿)では、2022 年 4 月 29 日(金・祝)から 5 月 28 日(土)にかけて、現代アーティスト、八木夕 菜の個展「視/覚の偏/遍在」を開催いたします。砂丘 をモチーフとした新作シリーズに加え、旧作やインス タレーションも出展した、関東圏では 4 年ぶりとなる 包括的な個展となります。
本展では、八木夕菜の新旧作を展示いたします。
今回発表する新作シリーズは、砂丘をモチーフとし、アクリルやスチールといった、通常は支持体として用いる事のない素材にプリントされ、「写真」の可能性を拡張する作品群となっています。
透過性の高いアクリルのブロックにプリントされた画像は、光の屈折により見る角度によって異なる景色を見せます。レンズを通したかのように、ある限られた視点しか見えない角度、肉眼でみる風景に近いような全体が見える角度、反対に画像が全く見えない死角。八木夕菜の作品群は光の性質と人間の視覚の関係性を認識させ、私たちがそれぞれ当たり前のように持っている「視覚」が常に「何か」に依存するものであることを気づかせてくれます。
今回、八木夕菜はコロナ禍で自然を求めて訪れた砂丘で広大な大地の姿を目にしました。
自らの視覚とファインダーを通した視点。
八木の作品には、その「ズレ」が表現され、鑑賞者は、自分たちが「見る」もの、そしてその行為と認識への疑問符を啓示させられます。
果たして自分が見ている「モノ」は実際はどんなものなのか、「視覚」がとらえた「モノ」がどう「認識」され、そして認識された情報がどう「偏り」を持ちながら、「モノ」が自分の中に存在するのか。
自分の視覚が捉え、認識する「モノ」は、個々の心/信条の在り方によって変っていくものなのではないでしょうか。
現代のデジタル社会において、物理的に「モノ」を「見て」、「認識」するという視覚のプロセスが変動している中、八木夕菜の作品群が、「存在」を認識する人間の感覚を再考する機会となりましたら幸甚です。
Artist Statement
時折、ものを見ていると視覚を越えた感覚が認識されることがある。時に『もの』は、我々個人の中に視/覚を通じて独自の認識を形成する。しかしその時、我々は、他人と同じ『もの』を見ているのだという確信も同時に持っている。これらの視/覚の偏/遍在は、あたかも心/信条の在り方と同様ではないだろうか。
Covid-19やロシア・ウクライナ戦争など、様々な心情や信条の分断が生じている現状において、視/覚の偏/遍在を体感しつつも、それでも同じ『もの』を『見る』ことへの可能性を提示したい。
八木夕菜
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