「ビター・ネスト」は1970年代から現代までの、世代を超えた米国人アーティスト達が一堂に会するグループ展です。参加アーティスト達の作品は、社会のバロメーターとして過去半世紀にわたる各文化的風潮を捉え、様々な時代の真実を多様な形で表現しています。展覧会タイトル「ビター・ネスト」は、本展の中核をなすアーティストの一人、フェイス・リングゴールドが制作したキルト作品シリーズに因んでいます。
米国において、アーティスト達は長きにわたり“正義の要求”の中心的存在であり、自国の不完全さや異常性を映す鏡の役割を果たしてきました。本展参加アーティスト達は、フェミニズムから批判的人種理論、環境政治、資本主義に至るまで、数々の交差する糸を織り交ぜながら、各々の時代における無数の問題への認識、さらにはアーティスト、人間、真実の一端としての自己認識をも示しています。
時系列で考えると、「ビター・ネスト」は人種問題やフェミニズム・アートの先駆者であるフェイス・リングゴールド(1930年出まれ)とジュディ・シカゴ(1939年生まれ)の作品から始まります。この2人のパイオニアが同一の展覧会に参加するのは今回が初めてとなり、それぞれの考えや批判的所見を持った他のアーティスト達の作品と無言の対話を繰り広げます。他の参加アーティストは、より若い世代のニーナ・シャネル・アブニー(1982年生まれ)、ジェネシス・ベランジャー(1978年生まれ)、マーク・トーマス・ギブソン(1980年生まれ)、エミリー・メイ・スミス(1979年生まれ)、シフォン・トーマス(1991年生まれ)、ロビン・F・ウィリアムズ(1984年生まれ)で、彼らは自らの時代における個人的・政治的問題に対して、新たな進化的視点をもたらします。また、米国の芸術的語彙の不朽性、多産性をも垣間見ることができるでしょう。
フェイス・リングゴールドと同時代の詩人で革命家のアミリ・バラカは、1964年に現代アートにおける人格と物語の使用について次のように書いています。「詩は、文字通り、何かについてでなければならない。そして書き手は、愛情、殺人、歴史、経済の重みによって、個人的に神聖化された方向に引っ張られるはずだ。そうでない限り、詩は全く存在し得ない。しかし、(詩を)面白くし、文学や芸術を作るのは、方向性そのものではなく、詩人が方向性をリプレイ(再演)することである。」 「ビター・ネスト」参加アーティストは、全員がストーリー・テラーであり、自身の主観性という力を活用するとともに、視点を増やし、多様化し、再話することを促しているのです。
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